若者が世界旅行記「何でも見てやろう」(小田実著)を読んだことにも後押しされ、やむにやまれぬ衝動にかられ貨物船に乗った。海のはるか向こう八千キロも離れたところで、聖書に初めて触れた。イエスのなにものかを知った。人生が変わった。生きる道を知った▼十一月一九日夕、一橋大学四年、伊崎亮さんが海外数ヶ国を巡った後コロンビアで、二人組の男に銃で撃たれた。悲劇というほかない▼近年、若者が内向きになっている。住みやすい日本で何とか生きていくことができるからか。やむにやまれぬ思いで「いっちょうやるか!」と若い吉田松陰、新島襄がおらぬかと声が聞こえる。冒険後、幸運に恵まれた若い時の体験が、人生の黄昏に夕日の輝きを浴びる人生もある。それに反して旅の途中で不幸に幕を閉じる者もある。そんな例など山ほどあるが、誰もその道程を前もって知ることなどできないしろものだ▼この世で命より大切なものがあると言えば、キチガイ扱いにされる。中国人の若者が駅から落ちた人を助けようと危険承知で飛び降りた。その時何が彼を動かしたのだろうか。助けたあと名も言わずに立ち去ったという。二年前のことだった。生きるに時があり死ぬに時がある。

 

著者紹介

畠田 秀生
畠田 秀生

聖書と日本フォーラム会長。聖書日本キリスト教会・登茂山の家の教会牧師。三重県志摩市在住。