松竹梅の筆頭にあげられている松は打たれ強い。杉、檜のようにまっすぐに伸びないが曲がりくねった姿は決して醜くはなくむしろ美の深さを堪能させてくれる。私の友人のK氏の居間から見える小高い山に檜が数百本まっすぐに天に向かって群立している。その常緑も美しい。群れの美もさることながら、群れの一本一本の個性豊かな枝の曲がりくねった松の美しさは格別である。海辺に立って風に打たれ嵐に耐えて、腐植土のめぐみの薄給をものともせず、里山に住まず、防風林として役目を黙々と果たす個性の強さはあっぱれというほかない▼戦後七〇年を経た今、ふと周りを見渡せば松枯れが寂しさを感じる。戦争中に材木を調達するのに成長の早い杉を大量に植林したが、役立たずに捨ておかれている姿に重ね視してしまう。空腹に耐え口にするは芋ばかりから、麦飯に代わり、それが徐々に白米になっていったそのうまさを知った小学時代、左思想の渦まく学生時代、神武景気の高度成長からデフレの経済停滞の不毛の低迷期を経て、平成は中東から黒煙立ち上るテロの混迷と吹きすさぶ嵐に立ち向かう〝松防風林〟が多く枯れたとは思わない。〝松〟が松竹梅の上座に名実ともに君臨するのを期待したい。松が地を這うように枝を個性豊かにのばすのは神の恵みだ。

著者紹介

畠田 秀生
畠田 秀生

聖書と日本フォーラム会長。聖書日本キリスト教会・登茂山の家の教会牧師。三重県志摩市在住。